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ジャンクション( junction 、JCT )。日頃、何気なく通り過ぎ、運転中に気を取られている場合ではない場所とは思います。しかし、私は運転しながらも、あるジャンクションの照明の仕掛けが気になり、それからというもの、その虜になっています。みなさんは、ジャンクションに何か感じることがありますか?
レポーター紹介 平野恵津泰(ひらのえつやす)建築家
この虜になっている仕掛けは、豊田ジャンクションにあります。そして、仕掛けの効果をはっきり感じられるのは、東名高速道路上り線を名古屋方面から真っ直ぐ岡崎方面に、ジャンクションを走り抜ける、まさにその時です。
  • 「豊田ジャンクション」東名高速道路上り豊田方面から岡崎方面に
  • 「豊田ジャンクション」東名高速道路上り豊田方面から岡崎方面に
ゆるやかな上りのカーブから、円周上に伸びる道路サイドのライン照明が、まるで、走る車のスピードで駆け上がっていくようにみえる様は、見るたびに感心してしまいます。ゆるやかに登るスロープと、綺麗に描かれた曲率の斜路に、照明が見え隠れしながら動くように見える仕掛けは、単純であるにもかかわらず、見る人に多大な効果を与えていることでしょう。 他のジャンクションやインターのカーブでは、照明を点滅させたり、反射板を風で回転させたりと、カーブに意識を向かわせる仕掛けは多々ありますが、この豊田ジャンクションの流れるような照明の仕掛けは、もっとシンプルで、優美かつダイナミックなものと思えて仕方ありません。 そんなことをきっかけに、この流れるような優美な曲線と、強固で頑丈な構造を併せ持つ「ジャンクション」について、少し掘り下げてみようと考えました。 今回は、最初に興味を持った「豊田ジャンクション」を取り上げます。

ハーフタービン型

豊田ジャンクションは、、ジャンクションの種類の中でも、完全立体交差型のうちのタービン型の変形で「変形タービン型ジャンクション」と呼ばれています。 タービン型は交通運用上、最も望ましい形態であり、4枝交差の代表的インターチェンジ形式となっています。ただし、用地面積はクローバー型より、多少小さくできるものの、交差構造物が多くなることから、工費が高くなるそうです。(道路構造令の解説と運用 社団法人日本道路協会) なぜ、変形かと言いますと、豊田ジャンクションは「ハーフタービン型」なのです。 東名高速下り線から、伊勢湾岸四日市方面に向かうときに、左車線のまま合流する事ができるジャンクションであれば、タービン型ジャンクションとなります。 しかし、運転をする方は、お気づきかもしれませんが、実際は、最も左車線を走行していくと、東海環状自動車道方面、つまり豊田東方面に抜けて行ってしまいます。 というわけで、「ハーフタービン型」なのです。 これは、タービン型にした場合、この豊田東方面のランプのさらに左に、伊勢湾岸四日市方面に抜けるランプを設けなければならなくなり、土地の面積が、今以上に必要になってくることから、少しでも面積削減をするために、設計されたからだそうです。
  • 特徴的な「ハーフタービン型』
  • 特徴的な「ハーフタービン型』

ジャンクションのある風景

このジャンクションは韓亜由美さんという方が、全体景観をデザインしたのですが、出来た当初、土木のコンクリートの橋脚に、色をつけ、それもグラデーションになっている。というものを見たことのなかった私は、感心し、驚いたことを覚えています。 豊田ジャンクションの下、つまり地上に降りてみると、フットサルが出来るグラウンドに遭遇します。設計当初、、韓亜由美氏の提案は、この空地を、もっとジャンクションパークとして整備する。という提案だったそうです。公団民営化の過程で、潰えてしまったそうですが、そのジャンクションパークが実現できていれば、今とは全く違った風景が、ここに現れていたことでしょう。 さらに、歩いてみると、神明遺跡台地公園なるものがあります。公園中央にあるのは、三味線塚古墳と言って、5世紀中頃、この辺り一帯を治めた有力者の墓だそうです。ジャンクションの建設に伴い、遺跡調査がされ、公園として残されたということです。 普段は、車でジャンクションを走り抜けるだけですが、こうして、違った観点からジャンクションを眺めること、地上に降りてみることで、今まで見えてこなかった、新しいことや、歴史、そのジャンクションに携わった人々のことなどにも、興味が湧いてきた次第です。
橋脚がグラデーションに橋脚がグラデーションに 神明遺跡台地公園神明遺跡台地公園
今回の取材協力は、NEXCO中日本さんにご協力いただき、資料提供や苦労話をお聞かせ頂きました。その中で、土地の高騰が、ジャンクションの設計に深く影響していることを伺いました。「最近のジャンクションは、ますます複雑化しています。というのも、土地の価格が上がってきて、土地の収用に多額の費用が必要なため、少しでも小さな面積で、ジャンクションを設計しなければならなくなり、安全かつ強固なものとすることは、本当に大変な苦労なんです。」とのこと。なので、古いジャンクションほど、理想的な形をしています。例えば、名神高速道路と北陸自動車道を結ぶ米原ジャンクションや、東名高速道路と中央自動車道路を結ぶ小牧ジャンクションは、非常にシンプルな理想形となっています。当時は、やはり土地の収用に今ほど費用もかからず、ゆったりと土地を使っての設計だったということです。

いろんなデータ

豊田ジャンクションについて、マニアックなデータをまとめてみました。

  • ○ 2003年3月15日供用開始。2004年12月12日、伊勢湾岸道四日市方面と接続して完全供用開始。
  • ○ 東名高速道路と伊勢湾岸道の高速道路同士が直結するJCTであり、設計速度は80km/h、60km/hを採用。ジャンクション形式は変形タービン型。
  • ○ 橋梁形式は、長支間で交差する道路を跨ぐことから、施工性を考慮し、鋼製構造。供用中道路の上空では、夜間通行止めして桁架設しています。交差箇所のない一部の橋梁は、コンクリート製の橋梁となっています。
  • ○ ランプの照明は、走行上の視線誘導、外部からの景観、周囲の農地への影響を考慮し、高欄上に線状の高圧ナトリウム灯(ライトチューブ)を設置。
  • ○ 東名から伊勢湾岸道へ向かうランプは、進行方向と分岐方向を逆にして、用地面積を小さくする工夫がされています。
  • ○ ランプの数は、AランプからHランプの8ランプから構成。
  • ○ 23年度交通量、JCTランプ通過日交通量、61,800台/日。
  • ○ 最急縦断勾配は、Cランプ(東名名古屋から豊田南方面)、Gランプ(東名岡崎から豊田東方面)の5%。
  • ○ 最高高さは、Eランプ(豊田東から東名名古屋方面)の地上より概ね28m。
  • ○ 最小半径はCランプ、Fランプ(豊田東から東名岡崎方面)、Gランプの150m。
  • ○ ランプ延長はDランプが最も短く889m、元も長いのが、Gランプで1,556m。
今後も、興味深いジャンクションの記事を取材していこうと思います。

今回のレポーターを務めた建築家

宮坂 英司 	(みやさか えいじ/ Eiji Miyasaka)

平野 恵津泰(ひらの えつやす/ Etsuyasu Hirano)
株式会社 WORK○CUBE(ワーク・キューブ)
名古屋市昭和区福江 1-7-2
TEL 052-872-0632 / FAX 052-872-0633
http://www.workcube.jp
住まいの主役はやはり、住み手です。我々が出来ることは、ほんの一部のお手伝いであって、決してデザインの押し売りではありません。住み手の顔の表情(笑顔)まで、想像できるような、住まいづくりを心がけています。新しい生活の門出のお手伝いが出来ることが……
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