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何が印象に残りましたか?

「あえてひとつ挙げるとすれば、矢場町の交差点にある新宮さんの作品。そのあたり一帯は浄水場が処理した水を再利用したしかけが施され、新宮さんの作品と合わせて水が流れる仕組みになっていました。自然を取り入れダイナミックな動きが期待される作品でしたけど、固定されていて動いているところを観る事ができず残念でした。本来は市民の憩いの場となるようつくられたのだと思いますが、恐らくホームレス対策なのか、水場の周囲に新たな鉄柵が設置され入れないようになっていました。『本当は市民のみなさんに使ってもらいたかったけどダメだったから閉鎖するね』というメッセージを発しているようで、ちょっと悲しげでしたね(笑)。」

  • 新宮進さんの作品の前で
  • ひとつひとつ丁寧に鑑賞
  • 左:新宮進さんの作品の前で
  • 右:ひとつひとつ丁寧に鑑賞

笹野さんだったら、100m 道路をどう設計しますか?

「僕なら、今あるオブジェたちにもっと執着しちゃうかな。100m 道路に設置されているオブジェは、つくられてから時間が経っているとは言え、間近で観るとひとつひとつがとても魅力的。残念な点を挙げるならば、設置されているそれぞれの距離が長過ぎて魅力が分散していることですかね。僕なら、例えば東西に伸びる公園をつくって、そこにオブジェを集めて展示するなどの方法を提案します。そうすれば100m 道路全体の魅力が上がる気がしますし、もっと人々が集う場所になるのではないかな。」

「とはいえ、そういう場所をつくることによって、行政は新たなホームレス対策などを打ち出してしまうのでしょ うね。それらの問題はひと筋縄ではいかない問題かもしれませんが、ホームレスの存在を社会の異物として排除しようとするから問題になるのであって、はじめからそれらも受け入れられる、懐の大きなグランドデザインを描けばいいのではないかなと思ったりもします。そうしてそれが都市のおおらかさに繋がっていくのではないでしょうか。」

  • 左:ひゃくめーたー美術館の魅力はいろいろ
  • 右上:紹介しきれなかった作品も
  • 右下:実際に触ったり測ったり

ところで、名古屋大学と100m 道路には、実は深いつながりがあるとかないとか(笑)。

「100m の終了地点からしばらく行った先にある名古屋大学の東山キャンパス内に100m 道路が通っていました。地図を観ると、まさに100m 道路の延長線上に位置しているんです。あくまで伝え聞いたことですが、名古屋の中心部を横断する道路計画の上に名古屋大学が建設されたという一説もあるのだとか。正面入り口の先には有形文化財の豊田講堂があり、そのさまはまるで100m 道路の終着駅のようにも見えますね。豊田講堂はトヨタ自動車から寄贈されたものですが、この地域を代表する企業によって建てられた建築物がこの位置にあるという事実にも、なにか不思議なつながりを感じます。」

  • 100m道路の延長線上に位置する名古屋大学
  • 有形文化財の豊田講堂の前で
  • 名古屋大学の東山キャンパス
  • 左:有形文化財の豊田講堂の前で
  • 右:名古屋大学の東山キャンパス

「100m 道路の存在そのものにも不思議な点が多いですし、設置された作品の数々が不思議さをさらに増長させていますよね。まずは名古屋の100m 道路にはこんなにもおもしろいモノ・不思議なモノがあるんだということを、多くの人に知って欲しいなと思いました。行政主導のもと街中にアート作品が設置されたもののその後のメンテナンスが行き届いていないケースは少なくありませんが、全国に目を向けてみると、そこに住む市民が集まりアート作品の清掃活動や鑑賞ツアーを行うという取り組みも始まっています。街のアート作品に市民自らが関わり育てていければ、その街の魅力にもつながりますよね。若宮大通に設置されている作品の数々も、もともとは街の魅力をさらに増すためにつくられたもの。パブリックアートとの関わり方を通じて街と市民の関係をプラスに捉える人が増えれば、ひとりひとりがさらに名古屋の街を好きになれるのかな、と感じました。都市と人にはさまざまな関わり方があると思いますが、多くの人が心地よいと感じるポイントはきっと時代によって変化するはず。100m 道路という街の財産を生かして、都市の可能性をいろんな角度から探ることができたらおもしろそうですよね。」

「こうしてさまざまな角度から捉えてみると、100m 道路って本当におもしろくて魅力あふれる場所だと感じます。今後、若宮大通だけでなく、久屋大通も含めた『ひゃくめーたー』の魅力にもっと触れてみたいですね。久屋大通りは道路の中心が公園になっているのでいったいどんなものがあるのかにも興味がありますし、若宮大通と久屋大通を知ることで、日本で唯一100m 道路を2 本も持つ名古屋でしか味わえない魅力を見つけることができるかもしれません。」

次回は久屋大通りの「ひゃくめーたーの魅力」に迫れるかも?今後の展開をお楽しみに!

今回のレポーターを務めた建築家

笹野 直之(ささの なおゆき/ Naoyuki Sasano)

笹野 直之 (ささの なおゆき/ Naoyuki Sasano)
有限会社 笹野空間設計
名古屋市名東区猪高台2-216
TEL 052-772-7812 / FAX 052-772-7814
www.sasanosd.com
古くから日本の建築は木と紙と土でできていました。その一方で近代文明の発達や西洋文化の影響によって建築材料や作り方は変化し、近年の建物の性能は向上してきました。現代の人々が暮らす住宅では、昔よりも快適で安心感のある性能を確保することも重要です。
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