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名古屋市民にとってなじみ深い100m(通称:ひゃくめーたー)道路。ふだんは見過ごされがちなその道路の新たな魅力を見つけたいと手を挙げたのは、名古屋市出身の一級建築士・笹野直之さん。個人住宅から集合住宅、パブリックスペースや病院など幅広いジャンルの建築を手がける、若手建築家です。
100m 道路とはその名の通り、幅が100m 以上ある道路のこと。名古屋では当たり前の風景ですが、実は日本にある100m 道路は広島市の「平和大通り」と名古屋市の「若宮大通」「久屋大通」のみだということをご存知ですか?戦後、復興策のひとつとして全国のあちこちに建設計画があったものの、実現したのはたった3本だけ。そのため実はとても貴重な道路なのです。深い歴史が刻まれているにも関わらず、毎日気にとめることなく通り過ぎている100m 道路。実際、笹野さんとともに若宮大通を歩いてみるとそこにはたくさんの「不思議でおもしろいモノ」が点在していました。名古屋の街を横断する「ひゃくめーたー美術館」、その魅力をたっぷりお届けします。

笹野さんはなぜ100m 道路に注目したのですか。

「100m 道路って、実は日本ではとても希少性があるものなんです。100m と言ってもグリーンベルト(中央の緑化帯)があったり公園やグランドがあったりするので全てが『道路』ではないけれど、それ自体がとても特異な存在。ふだんは車で通り過ぎてしまうだけなので、歩いてみたらきっといろんな発見があるんじゃないかという興味がわきました」

レポーター紹介
笹野 直之(ささの なおゆき)建築家
  • 上の写真はここからのぞいていたのでした
  • ひゃくめーたー美術館の魅力を語る笹野さん
  • 左:上の写真はここからのぞいていたのでした
  • 右:ひゃくめーたー美術館の魅力を語る笹野さん
「ふだんは通り過ぎてしまうだけの若宮大通ですが、改めて歩いてみるとさまざまな発見がありました。パブリックアートや憩いの施設など、変わったものがたくさんあっておもしろかったですね。ほとんどの作品が20 数年前に作られたもののようですが、予想よりも劣化していないことに驚きました。一方で、こんなにおもしろいモノがたくさんあることをあまり知られていないのは少し残念な気も。若宮大通のおもしろさをもっとたくさんの人に知ってほしいですね。」 「とにかく、それぞれに魅力があってとてもおもしろかったですね。今回、100m 道路を西から東まで、オブジェクトの中からおもしろそうなものをピックアップして観て回ってきましたが、どれも一見の価値がありました。やはり、近くで観ないと感じ取れないことはたくさんありますし、車の中から観ているだけでは気づかないこともたくさんある。若宮大通を通る機会のある方に、もっとちゃんと観て欲しいなと思いますね。」

ひゃくめーたー美術館の「作品」

ひゃくめーたー美術館マップ(若宮通り版)
  • ①
  • 州崎橋の交差点に設置してある鉄でできた大きな立方体。少し触ってみたら、手が真っ黒になってしまいました(笑)地中に埋め込まれるように設置されているので、見えないところでしっかりと支えられていると思います。立方体の軸と道路の軸はほぼ揃っていました。これは、いうなれば、「ひゃくめーたー美術館の入口」です。近くで観ると、その迫力に圧倒されます。どこかの美術館においてあっても遜色ない作品ですね。
  • ②
  • 若宮南の交差点にあるのはステンレス製の噴水。吹き出し口を見てみると、水が壁のようになって流れ落ちてくる仕組みになっているようですね。水が面を作っていて、折り重なるようになっていました。水が出ているシーンをぜひ観てみたいものです。
  • ③
  • 若宮大通本町との交差点にあるのは、コンクリートでできたオブジェ。遠くから見たときは遊具のようになっているのかな、と思っていたのですが、実際は本体から両側に板が持ち出していて、ベンチになっていました。
  • ④
  • 矢場町の交差点は、風や水で動く彫刻で世界的に知られる「新宮進」さんの作品と下水道の施設が一体となっていて、人口の小川で人々が憩えるようなつくりになっていました。ただ、後から設けられたと思われる柵がまわりを囲っていて、現在はその小川で遊ぶことはできないようになっています。ここで市民が憩うようになれば、景観としてもぐっと雰囲気がよくなんですけどね。
  • ⑤
  • 久屋大通との交差点にはピラミッドがありました。実は若宮大通と久屋大通の交差点は、「日本で唯一100m 道路が交差する場所」。その中心にピラミッドが設置されているということに実は深い意味があるのでは、なんてことを考えるのも楽しいですね。内照式になっているので、夜景も観てみたいですが、柵がされていて近くに寄れないのが残念です。
  • ⑥
  • 成田山の目の前にあるのは、調整池の管理施設でしょうか。あまり知られていませんが、若宮大通の地下には洪水時などに備えて巨大な調整池が設置されているんですよ。管理施設の横には記念碑が建てられていますね。
  • ⑦
  • 丸太町の交差点に置かれているオブジェ。天に向かって白と黒の御影石が積み重ねられた作品は、単純なかたちを組み合わせておもしろい形をつくっているところに魅力を感じました。遠くから見えているかたちがあって、近づいて色々な角度から作品を観ると、また新しい発見があったりして、奥の深い作品ですね。
  • ⑧
  • 大きな大理石をふたつ並べ、窓枠のようにくりぬかれている作品は、遠くから観ると「かたまり」としての存在感が浮き出るのですが、自然のままの形と計算して切り出された部分が対比的で、一見ダイナミックに見えるのですが、とても繊細につくってあるところが面白いですね。

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